2017-06
いっせーの、せ!
地球へ遊びに行く仲間たちが、とっておきを小脇に抱えて、約束の場所に集まる。
ぼくたちの間では、『星くずの集い』と呼んでいる。
地球に生まれる前、ぼくたちは必ず、この約束の場所で、とっておきのシナリオを見せ合う。
シナリオは、それぞれの星が、自分の意志でつくりあげる大切なもの。
分厚い辞書のような超大作。羊皮紙一枚だけのシンプルなもの。散文詩でつくられた不思議なもの。
彩り豊かな星くずたちのシナリオ、タイミングを合わせて、一斉に見せ合う。
すると、一瞬にしてすべてのシナリオがつながり、関わり合い、無邪気な約束を交わす。
「わたしは男で生まれるよ」「じゃあ、わたしは女」
「2017年に会おう」「場所は星と龍にまつわるところでね」
ぼくたちが、地球において、今、いる場所。
あたりを見渡せば、すべてがつながり、関わり合っていることが、わかるはず。
もちろん、わからなくても大丈夫。それは、忘れているだけだから。
ぼくたちの日々の暮らし。
それぞれのアンテナで、ひとつひとつを感じていく。
ぼくたちが大切なものを思い出せるよう、
毎日のそこらかしこに、たくさんの贈り物が用意されている。
ぼくたちが、ぼくたち自身の大切なものを思い出せたなら、
またもうひとつ思い出すことができる。
いっしょに、この世界を生きている、無邪気な約束を交わした星くずたちと
タイミングを合わせて、つながり、関わっていること。
「わたし、あなたのことを叱りつける役にしようかな」
「ありがとう。じゃあ、わたしはあなたのことが嫌いになるのかな?」
「どうなるだろうね。嫌いになってもいいからね」
「そんなことないよ。ぜーったいわたしは嫌いになんかならないからね!」
約束を忘れた星くずたちは、ケンカをしたり、嫌いになったりするけれど、
思い出しちゃえば、すべてが笑い話になる。
「あなた、わたしのことを嫌いにならないって言ったのに」
「ごめんね、忘れちゃってたんだもん。おかしいなあ、忘れるわけないと思ったのに」
「でも、実はわたしも忘れてたの。あなたのこと、嫌いだったもの」
「面白いね、ほんとうに。でも、あなたのおかげで会社をやめることができたんだよ」
「そっか。それなら、結果オーライってことになるのかな」
誰を好きになっても、嫌いになっても、だいじょうぶ。
ぜんぶ、自由に選んでいいのは、地球の醍醐味のひとつ。
優劣なんてひとつも存在しない、星くずたちの遊び。
毎晩、夜空に浮かぶ無数の星を眺めれば、ぼくたちはきっと思い出す。
それぞれの輝き、色、在るべき位置と、つながりの距離感を。
さまざまなことが起こる毎日は、なにもかもがカンペキ。
ギリギリセーフも、ギリギリアウトも、愛しい贈り物。
それじゃあ一緒に、シナリオを見せ合った、あの時、あの場所を思い出そう。
無邪気な約束を、再確認しよう。
いっせーの、せ!
こじょうゆうや