2019-10
愛なるかたち
飛鳥は古の百済の人たちがここを築きあげたところ。タナカシゲオ氏は奥飛鳥の山谷、明日香村の栢森にある築280年の大きな古民家を自身で改修し、その中庭に藁塊を構造とした韓屋のような工房を建てそこで仕事をしている。工房も家も時を遡る古い佇まい、その中での暮らしはとても美しい。栢森には龍神が住むという女渕、男渕ある。どちらも山道からはずれた山の奥に瀧があり、そこに深い渕がある。渕はとても深いので清んだ水が重なり翡翠の色をしている。そして、その渕は竜宮につながっているといわれる。氏の白磁の作品から翡翠の色があふれている、私はその色彩を龍の目の輝きのようなものと感じている。氏の窯は家と工房の近くの山谷の山中にあり、窯の周辺に氏の畑もある。窯は登り窯よりも古い形式の穴窯と倒炎式薪窯による。いつも畑で採れた美味しい果実などを送ってくださる。この度の窯焚きは4日間を通して温度が1000度を超えず釉薬が溶けないという心配があったという。しかし、不思議なことに窯の煙突から火柱が上がり窯焚きは終わり、翌朝、窯の中を覗くと、釉薬が美しく溶けたやきものが見えたそうだ。今作はたくさんの薪を燃やした痕跡なのか灰の表情が一段と美しく感じる。最近では何故か白磁の翡翠色の中に美しい桃色が浮かび上がることもある。氏のやきものは古の形に彩られている奥に、日々取り組まれている真理の探求、宇宙の事象の数々がにじみ出るという、絶妙な感覚を持って作品が成り立っている。古と新たな精神の進化が混沌とした美、それが氏の作品を無二にしている。また、こういったことが私を氏の作品に向かわせている。今作の作品の中に土の形成を轆轤で目を瞑って形したものがいくつかある。美しさの奥にある氏の真が愛に溢れ現れていく。
Oct 1, 2019
AAWAA
タナカシゲオ
「愛なるかたち」展
私は骨董(特に焼物)が好きで焼物を作り始めました。
初めはロクロを引くのが楽しかったのですが、最近はもっと自分を表現できる手びねりや紐作りで作ることが多くなりました。近年私は様々なおもしろい方々と出会うようになりましたが、その中である方から「目を閉じてロクロをされてみては?」とアドバイスを受けましたので試してみますと案外上手く引けました。目を閉じることにより土と触れ合う感覚がより深いものとなり視界から入る雑念がなくなり土との対話に集中できるようになりました。またある方から「あなたの窯は意思を持っています。炎も意思を持っています。あなたは窯から愛されています。」と言っていただきました。そうしたらとても嬉しくなって窯と対話してみようと思いました。今回の展示会にお持ちいたします作品たちの多くは土との対話、窯との対話の中で生まれた作品たちです。
ぜひご高覧いただけましたら幸いです。
タナカシゲオ
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Center for COSMIC WONDERでは3回目となります、タナカシゲオ「愛なるかたち」展を開催いたします。
タナカシゲオ氏は奈良の明日香村、築280年の古民家に暮し、山谷に構えた穴窯と倒炎式薪窯で作陶しています。
この度は土や窯との親密な対話の中で生まれた古と今が繋ぎ重なる、真理と美が表出する作品を発表します。
ご高覧賜りますようお願い申し上げます。
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会期:
2019年11月9日(土)− 11月17日(日)
午前11時 – 午後7時
作家在廊:
11月9日(土)
オープニングトーク:
「愛なるかたち」
11月9日(土)
午後4時 − 午後5時半
タナカシゲオ、プリミ恥部、AAWAA
要予約、30名様 限定
参加費: 宇宙料金
*満席の為、受付は終了いたしました。
会場:
東京都港区南青山5-18-10
午前11時 − 午後7時
*休館日: 11月8日(金)
安田都乃
「ancient sound」展
自然界が奏でる倍音は私達の呼吸を整え神経を安定させてくれる
回転する球体の地球では常に無音の振動が私たちの血と骨を揺らし細胞を活性化させている
土器壷内でもこれらと似たことが起こっているのではないか、、
数年前から土器からなにかが発されているような気がしてならなかった
私は壷内の周波を計ってみることにした
大きく口の開いた壷は周波数は低く、口の小さい壷のほうは周波の共鳴速度が早いため周波数が高い
また土の厚みや形状などによってもさまざまであり高ければ良く低いほうが良くないという事ではない
これは音叉などで周波数が低いものは鈍い響きを発し高いものは澄んだ響きがするのと同じであり
用途と好みの違いであろうと思う
土器壷の中に水を一晩入れておくと振動が共鳴しあって即席の波動水ができあがる
また、大きく口のあいた土器壷の上に小型のハープを置いて奏でると土器は拡声機の役割を果たす
大きな土器壷を土に埋めると地上の音を吸収し現代では防音用途として発展しているそうだ
わたしは地から発される周波を受け取る媒介役として石を選んだ
石の上で土器壷を造形していると古代人が聞いていた音と同じ音が聞こえてくる
この行為は彼らの豊で崇高な精神性を感じ知る良い方法だと思っている
安田都乃
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Center for COSMIC WONDERでは初の個展、安田都乃「ancient sound」展を開催いたします。
安田都乃は縄文遺跡周辺の土やはたき土に独自の観点から植物などを混ぜ、
その土を手捻りにより形成し、野焼き焼成により作品を制作します。
安田は古代人の響き連なる音を自身が制作する作品を通じて現出させようとしています。
それは自然(神)と調和した精神や思想を現代に繋げる行為に感じます。
ご高覧賜りますようお願い申し上げます。
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会期:
2019年10月13日(日)− 10月20日(日)
午前11時 – 午後7時
*休館日: 10月11日(金)− 12日(土)
*13日(日)のみ午後1時から開館となります。
オープニングセレモニー:
10月13日(日)午後4時
安田都乃
1972年生まれ
2012年から植物、鉱物、土を源とする制作活動をはじめる
古代の土器形成や野焼きの研究と独自の感覚を繋ぎ作品を制作する
また、1997年の設立当初からCOSMIC WONDERの活動とアート制作に携わる