2020-05
横尾香央留
The Awakening Universe
横尾香央留による、COSMIC WONDERの衣のお直しプロジェクト、「The Awakening Universe」の販売を開始いたします。春夏コレクション「TENJIKU LIGHT」の衣が横尾のお直しにより独特のユーモラス溢れる衣として蘇ります。
天然素材を染色したCOSMIC WONDERの衣には時折、色斑や生地の破れなどが生じて販売できないものがあります。それらをモチーフに横尾が刺繍や編みものなどの手仕事を施し、新たな息吹を吹き込みます。独創的な世界観の繊細な手法のお直しに包まれた横尾香央留の「The Awakening Universe」の衣をお楽しみください。
第1弾 5月19日(火)よりCenter for COSMIC WONDER Online Storeにて先行販売、5月23日(土)よりCenter for COSMIC WONDERにて販売開始
第2弾 6月6日(土)よりCenter for COSMIC WONDER、Center for COSMIC WONDER Online Storeにて販売開始
*1点ものになりますので、売り切れ次第終了となります。
横尾香央留
1979年 東京生まれ。
2005年より刺繍やかぎ針編みなどの緻密な手仕事によるお直しのアート活動を始める。
皆さまのお越しを心よりお待ちしております。
107-0062 東京都港区南青山5-18-10
T. 03-5774-6866
うつくしいカディの村
インド・コルカタの都市から車で6時間ほどの長い道のり。道中、椰子の実の果汁を飲んだり、ショッキングピンクのペーパーナプキンとともにロティーや土器茶碗に入ったチャイをいただきながらカディの村に辿り着いた。4月の西ベンガルはすでに灼熱の日差しにより歩くことも容易ではないが、ありがたいことに村の人たちがたくさんで出迎えてくれた。村の家はほとんどが木の構造に土を塗った土家のようなもので、そこに草葺き屋根がのっている。工房の火をおこすおくどさんも土間から土が生えたような作りで、そこで糸の精錬をしている。原初のような美しい光景が残っていることに嬉しくなり、私たちのカディがここで織られていることをとても愛おしく感じた。糸の精練から織までを村の人たちが分担で行っている。現在、糸紡ぎは昔のガンジーのチャルカから複式チャルカになっている。糸紡ぎや糸巻きは女性が行い、大きな幅広織機の機織りは男性の仕事になっている。ある織機は土間を掘り、高機を半地下に埋め込んだようなものが印象的だった。湿度が必要なのだ。昔はどこの村でもカディを作っていたのだろう。日本でも植物から繊維を取り出し自然の布を各地の農家で作っていたのはさほど遠い昔のことではない。織機の心地よい音が響く村はみんな楽しそうだ。村の家々を案内してくれたり、木によじ登りマンゴをとってくれたり、賑やかに話をしながら村の中を散歩した。
その日、カディの布などを藍染めしていた古い工場跡の美しい宿に泊まった。夜、庭を散歩していると、たくさんの無数の蛍が菩提樹の木々に鈴のように輝いていることに気がついた。その美しい光はこの旅の私たちへのギフトとなった。
Apr 1, 2020 前田征紀
今回の旅とカディを繋いでくれた江崎正代さん、そして、私たちのカディをブロックプリントまで仕上げてくれるコルカタのウシュマさんとモニカさん、カディ村のみなさまに感謝と愛をこめて。
New arrival
COSMIC WONDER
TENJIKU LIGHT
Leather collection
眩しい新緑が溢れ、美しい風と光に包まれています。
革小物の新作がCenter for COSMIC WONDER Online Storeに入荷いたしました。
植物タンニンにより鞣されたしなやかな天然レザーとヨーロッパのエコ基準を満たした美しいレザーによる、 folk shoes、Shoulder bag、Drawstring bag、Ribbon drawstring bag、Wallet、Bifold wallet、Circle coin case、Card caseを取り揃えております。
Center for COSMIC WONDER Online Store
ときをいきる籠
日本はかつて大陸と地続きであったが、地殻変動を繰り返し、2万年程前に今の列島が形づくられたと考えられている。紀元前後に新しい文化をもった時代が到来 するまで、縄文の時は1万数千年にわたり続いた。海に囲まれた温順な日本の風土には、南からそして北から点々と繋がる群島伝いに多様な伝来があり、その長い暮らしの間、自らの文化はかたちづくられた。
縄文時代には土器や石器など、生活のなかで様々な様式と道具が用いられたが、その1つに自生する植物を手で編み成型した籠がある。
縄文の史を伝える日本各地の遺跡より、籠が出土。その当時の暮らしを知る手がかりとなった。人の手で編まれる籠は、長い時を経た暮らしの変容の中においても、これまでのいのちの歴史の中で重要な役割をしめてきた希有な道具といえる。
四季折々の日本列島のくらしの中では、自生する植物もことなり、籠の素材は、真竹、孟宗竹、根曲竹、鈴竹などの竹類、通草蔓、沢胡桃、山葡萄、山桜、つづらなど多岐にわたる。形状、編み方も、その地の暮らしを豊かに反映し各々の個性をたずさえるものとなった。稲作の土仕事に用いるもの、木の実や穀物を採取するもの、海において魚や海苔を採ったもの、くらしのいとなみに応じ、折々に編まれてきた。
自然の恩恵と人の手といのちがあたえられ、あたらしい時を生きる籠。素材美の特性をいかした成型の過程には、険しい山での原料の採取から、長い時をかけ生業にたましいを向ける、人の自然への畏敬の思いがやどる。自然と人間のいのちのかさなりに、うやまう心を寄り添わせ、用の美は昇華される。
人と自然がともにあり礎が築かれた日本の美意識。光をあてがう人の手が時をいきる籠の物語を継ぐ。長いいのちの歴史と暮らしを編む伝統的な手仕事にわたしたちの源流の光をみいだす。
2016年 春分
西澤さちえ