toggle

Exhibitions

コズミックワンダーと工藝ぱんくす舎
ノノ かみと布の原郷

Mar 20, 2021 | Exhibitions 

exhibition-nono-01

 

コズミックワンダーと工藝ぱんくす舎「ノノ かみと布の原郷」展を島根県立石見美術館で開催いたします。

  

本展は、日本の様々な地域に残された「自然布」から、各地の風土と一体となった人々の暮らしや自然観、精神性をみつめ、人と自然とのこれからの関係について展望しようとするものです。日本古来の素材や手漉き和紙に関する研究を続けてきた「コズミックワンダーと工藝ぱんくす舎」を招聘し、その独自の視点で選出された「自然布」と糸車や織機などの紡織用具、布の組織痕が残る縄文時代の土器片、そして「コズミックワンダーと工藝ぱんくす舎」による手漉き和紙を用いた新作とパフォーマンス、撮り下ろしの映像や写真をご覧いただきます。かつて人々は暮らしの身近にある草木から繊維を績み、布にして、衣服や暮らしの道具としていました。自然布と呼ばれるそうした布は生育に適した環境や繊維としての特性の異なる藤、葛、梶、楮、大麻、苧麻、榀、芭蕉、オヒョウなどで作られます。それが生み出された地域それぞれに特徴的な暮らしの文化が色濃く反映されています。繊維を取るところから全行程が手作業でなされる「自然布」づくりは、大変な根気を要すもので、その苦労は今日では想像もつかないほどです。貴重な布は尊ばれ、どの地域でも大切にされました。藤織がなされた島根では、ボロになった布は叩いて紙にし、最後まで無駄なく使ったとも伝えられます。

今日、自然と人間との関係は再考すべき段階になっています。

私たちは便利な暮らしの影で、自ら地球を汚し、住みにくい環境へと変えてきました。一方で、太陽の光を浴び、地球が生み出すエネルギーの恩恵を得て命を繋ぐ人の在り 方はいつの時代も同じです。すぐそばにある自然に包まれ、あるものを大切にして生きていた時代の布がいま、私たちに見せるのはどんな姿でしょうか。沢山の情報が溢れる現代において、「自然布」や手漉き和紙に宿る気配に、私たちが選び得る未来の姿の一つが映されているのかもしれません。原始の布とかみ、そしてそれらに共鳴して生み出された作品から未来を見つめます。

 

 

会期:

2021年3月20日(土・祝)− 2021年5月16日(日)

 

会場:

島根県立石見美術館

島根県益田市有明町5-15(T. 0856-31-1860)

午前9時30分 − 午後6時(展示室への入場は閉館の30分前まで)

休館日: 毎週火曜日(5月4日は開館)

 

写真:

(上)「大井谷の冬景色 」1971年 / 撮影: 隅田正三

冬のあいだ紙を漉き、紙布を作っていた島根県浜田市の山間部、金城の大井谷。

(下)「上講武の敷布」(部分)藤、個人蔵  昭和初期 / 撮影: 仲川あい

島根県松江市鹿島町の山間部、上講武では藤織りの習俗が記録された。

 

exhibition-nono-02

+ Share