COSMIC WONDER Free Press
Harmonic Meditation
Arts and Crafts
vol.2
ドイツの思想家 ルドルフ・シュタイナーの考案によるライヤー を見ると、かつて私がルドルフ・シュタイナーの人智学に没頭したことを思い出す。そして、人智学や神智学をより深く知りたいと思い、ルドルフ・シュタイナーの翻訳を多く手がけられ、日本の第一人者のお一人であり、神学の研究家でもある故 西川隆範先生と親しくさせていただいていたことも。その頃に私の制作した美術作品のテキストを西川先生に2度ほどお願いしたこともある。西川先生は体も大きくおおらかで優しく、とても素敵な方であった。私がお会いしていた頃は西川先生の晩年になるだろうか。その頃、西川先生は地球が良い方向へ向かうようにいつも願われていたように感じる。
西川先生の最後のブログはこのようなテキストで始まっていた、「2011年春、命と引き換えに原発事故を収束させようと祈念したら、心不全になった」。まだ暑さの残る晩秋、少し遠くにある喫茶店に早く入りたいと思い、早歩きでアスファルトの道を歩き、お疲れの西川先生の息を切らしてしまったことを時々思い出す。西川先生は甘いものが大好きだった。
カテリーナ古楽器研究所はマザーライヤー とベイビーライヤーの2種類のライヤーを制作している。マザーライヤー を制作するとき、そのくり抜いた木で生まれてくるのがベイビーライヤーという。カテリーナ古楽器研究所の松本未來氏が作ったライヤー は清々しく美しい。彼が作る様々な中世の楽器は西洋楽器にも関わらず、すべて日本の木で制作されているそうだ。そして、驚くことにそれらの楽器は現存するものが少ないので、ルネッサンスの絵画などを参考に再現されている。時も国も超えたカテリーナ古楽器研究所の楽器から響く音色にたくさんの人が魅了されている。
瞑想するとき、その空間を浄化することは瞑想においてとても重要なことだという。空間を浄化するということは現実的な部屋の掃除も良いだろうし、セージやハーブを使うことも良いだろう。その場所と自分のエネルギーまでも浄化するということであれば、霊的な動きが必要だろうか。私はアセンデットマスターのセイント・ジャーメインによる、愛と浄化のバイオレットフレームにいつも助けられている。セイント・ジャーメインのバイオレットフレームを想像してその紫の炎に包まれることで清らかな高波動の状態になれる、とてもありがたい炎なのである。Cosmic Wonderが制作したチョガッポの作品は、韓国でもとめた手織りの苧麻絹布をベンガラとログウッドで染め、その布の断片を紫色のグラデーションにして、それらを繋ぎ合わせ重ねることで幾何学模様を作っている。作品を自然光に透かすと、作品の真ん中に薄い紫の六芒星の光が浮かびあがる。そう、私はセイント・ジャーメインの愛と浄化のバイオレットフレームを表現したいと思った。
rinn to hitsujiの蝋燭作家 鈴木りえ氏に天使の蝋燭がほしいと言ったとき、鈴木氏が驚いた顔になった。鈴木氏は数年前にある人に天使の蝋燭のシリーズを制作すると言われたそうだ。天使からのお告げのようなものなのだろうか。天使蝋燭受胎告知から、何年経っても鈴木氏に天使のインスピレーションは感じられず、人型に近い作品といえば縄文土偶の土偶蝋燭を制作していた。鈴木はいつしか土偶が天使のようなものなのだろうかと思っていた。蜜蝋でできた土偶蝋燭はとてもユニークで可愛らしく鈴木氏の作品の中でも人気の高いものになっている。そして、この度、私が天使のことを言い出したことで、天使の蝋燭がとうとう現れることになったということだ。それから、鈴木氏は天使のインスピレーションを自身におろすための生活が始まった。しかし、鈴木氏の印象はお会いした時から常に天使に囲まれているように見えた。鈴木氏の蝋燭は全て手で形成され、型は使わずに一つ一つ丁寧にその印象を想像しながら制作していくという。天使は心で思えばいつでも現れてその人をサポートしてくれるそうだ。鈴木氏の作った白い天使の蝋燭、点火すると天使が舞い下りて美しさに満ち溢れた素敵な空間になるだろう。
Harmonic Meditation Arts and Craftsのコレクションは、ここ数年にお会いした作家や友人にお願いして作品を制作していただいた。見る人にはとても静かなコレクションに感じるかもしれないが、私はとても美しいコレクションだと思っている。目に見えているものの背後に霊的な気配がある美しい作品、それらは、人の心の栄養となり魂の記憶となるだろう。これからのアートと工藝を支えていく側面になり、沢山の花が開いていくのだと思う。
Sep 15,2019
Yukinori Maeda