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祭器
奈良 明日香村で毎週開催される「明日香ビオマルシェ」では、自然栽培による野菜や米、ポストハーベストフリー飼料による平飼い卵、秋に収穫されるマコモダケやきのこ、ヴィーガンバーガーやスムージー、インド家庭料理とグルテンフリーの無農薬米粉麺インディアンフォー、自家焙煎のオーガニックコーヒーなど・・・農家さんやカフェのオーナーさんの出店するテントが並び賑わいを見せている。私はオーガニックマーケットに行くことがとても好きで、旅先でも必ず見つけて足を運ぶ。自然栽培やオーガニックの野菜や果物などから、作られた方の日々の丁寧な作業や心のこもった仕事、人と自然が一体となった賜物を目の前にすると豊かな気持ちになり元気をいただくことができる。明日香村で暮らし作陶される、タナカシゲオさんとパートナーのさちこさんが明日香ビオマルシェに連れて行ってくださった事がある。そこでいただいた自然栽培の野菜で作られスパイスの効いたランチは青空の下でとても美味しく印象的であった。
山の中にあるタナカシゲオさんの李渓窯の横には自然栽培の畑があり、そこで採れた野菜で色々なお料理を作ってくださる。自然食療法、陰陽の重ね煮、発酵、ローフードなどなどを組み合わせて独特に進化した料理やお菓子はとても素晴らしく美味しく、家庭料理の枠を超えている。食後はシゲオさんが自家焙煎したコーヒーを入れてくださるが、台所に井戸があり、井戸水を汲み上げてその水で湯を沸かす。考え尽くされた美しく細やかな料理や飲み物を、目に見えない霊的なことを追求するシゲオさんが作られた器に盛りつけられると一層素晴らしく輝いて見える。
自然栽培の野菜にはどれだけの手間隙がかかるだろう、大切に育てられた命はどれだけの力があるだろうか、それらを使い作られた料理はどれだけのものが凝縮されているだろうか。尊いそれらをいただくとき、私は心から感謝をして美味しくいただきたいと思う。シゲオさんの器は神に捧げるような祭器の形が多く、私は竜宮でそれらの器を日々使っている。山の中で土と火とシゲオさんにより生みでた、霊的なゆらぎが表現されている器に料理を盛りつけていただくこと、それは霊的な尊さが表現されているものが最高のものだと思う私にとって自然な事なのかもしれない。
Aug 15, 2021
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