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Meeting room at North Village

Jan 30, 2023 | Free Press 

no3

 

私の村には面白い集会場があります。300年ほど前の茅葺き屋根の大きな古い建物で、中に入ると広い土間に、土と木でできた雰囲気のある使い込まれた台所と沢山の人が座れる食卓を中心とした集会場です。集会場というよりは自由な村のレストランという方が想像ができるでしょうか。集会場は村に住む誰でも使うことがいつでもできて、台所には色々な食材を持ち込み、美味しいものを作って、自由に食事を食べられるようにしています。大勢でご飯を食べたい時や、時間がある時、お話がしたい時、食材がたくさん余って共有したい時、食材が家にない時など、それぞれ好きな時に集会場に行きます。誰かが食事を作って、次の人の食事が足らなくなったら、食べ終わった人や作れる人が作っておきます。作りたくない人は作らなくて良いし、話をしたくない人は離れて食べても良い、一人ひとりの心地よさが許される場所になっています。畑や農場で余ったものをみんなで楽しむことを基本に、食材は村の予算で払うこともあったり、払わなかったりとその都度の加減によって成り立っています。村の農家さんが自然農や無農薬で作った上質なお米や野菜、卵やお肉もあれば、それぞれの畑で育てた心のこもった美しい食材まで豊富に台所に集まります。加工品も村の中に工場があり、余ったものなどが集会場に置かれています。お料理を作ることが楽しいという人たちが料理を作り、食べることが楽しいという人たちは食べて会話をし、村の人たちの無理のない気持ちを尊重することが、この集会場が長く存続する理由だと思います。

 

また、村へ提案する新しいアイデア、何か問題がある時にも集会場に行きます。そこにいる人たちで話し合った後に、村の大きな集会で話し合います。もちろん村の大きな集会もこの食卓を囲みます。かつて上がった議題で面白いプロジェクトに発展したものがあります。村が所有する山や森に人が手を加えてしまい不自然になってしまった自然をどうしていくかという問題がありました。それから、様々な分野の技術者や研究者などに意見を聞き、今では少しずつ山や森を自然に戻していくことを実践しています。それは、目に見える大きな問題になる前に、人が肌で感じる直感や心地よさを取り戻し、村の人たちの感覚を研ぎ澄ませる活動でもあります。

 

私が楽しみにしている日があります。それは、村の料理家や村外から料理家が来て、村にある材料で特別な食事を作っていただき、村の多くの人が集まる日があります。その時は、みんなでお金を払うこともあるし、料理家に必要なものをプレゼントする人もいます。この会の集まりには、それぞれが大いにおしゃれをして参加します。今の私のインスピレーションの源はここに集まる村の人たちの服装です。先日、国籍のない原初的な料理の会がありました。それぞれがおしゃれをして、100年以上も前の作業着を素敵に着こなす男性も印象的でした。その中に、村に住む年配の白髪の髪の長い女性が私の心を捉えました。ヨーロッパの19世紀の黒いロングドレスをゆったりと着れるようにリメイクをして、鹿皮の小さなバックを手に持ち、足元はアジアのつま先が反り返り尖った靴を履き食事会に来られていました。髪型は19世紀後半のようにふわりと結ったスタイルがとても素敵でした。その美しさは、何にもとらわれない豊かな心で全てを融合した自由さ、時間や次元を超越した感覚、リラックスしたユーモアー、何よりも全てを受け入れるような優しさが放たれ、彼女の存在と出立ちに集会場の空間がより一層あたたかな場に感じられました。

 

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写真上から

集会場の日干し煉瓦

19世紀フランスの大麻布袋

ガラ紡*による無農薬栽培綿ツイードの仕事着

*ガラ紡 19世紀末に元僧侶の発明家、臥雲辰致により開発された紡績機。綿のオクソ(落ち綿)を使い手紡ぎのような糸を紡ぐ

꽃신(コッシン)

 

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