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Free Press

エレン・フライス
春が来た

Mar 04, 2022 | Free Press 

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春の訪れは、突然暗闇の中に小さな光が差し込むように、風景にあたらしい色が現れる。それはいつも地面にある黄色か紫の花から始まる。私が住んでいる地域で一番初めに咲くのは、ニオイスミレ、ヒメリュウキンカ、タンポポのいずれか。これらはまだ辺りがまだ冬景色の頃に現れる。また、ハシバミの木にぶら下がっている金色の蕾のような花もその前触れ。春の訪れ!これらの兆候が私に喜びをもたらす。まだ寒いかもしれないし、夜は凍えるかもしれない、でも紛れもなく春が近づいている。

 

数日後、私は小さな庭の潅木の蕾に気づき始め、細い道を車で走っていると、桜の白い花芽や、最初に咲くコーネルのとても小さな黄色い花に気が付いた。長い冬の眠りを終えて、自然の活動が再び始まり、まるでバレエのように次々と木々にやわらかな緑の葉が芽生え、新しい花やハーブが顔を出す。

 

先週、何百本もの水仙が群生している「水仙森」に行った。いつも何本か摘み取ることにしているが、今年は少し早すぎたようで、まだ数十本しか咲いていなかった。そこでノヂシャ、多年草レタス、タンポポなど、サラダとして食べる野生のハーブを摘むことにした。

 

田舎に引っ越しをして、自然や季節のサイクルに親しむようになると、その絶え間ない変化と早さに驚かされるようになる。植物は植生の変わり目に収穫して食べるのがよく、食用植物は花が育つ前、薬用植物の場合は花が開いた直後など(例えばサンザシ)、その変化の時は数週間しか続かないこともある。春の訪れと共に、またひとつ私の日々の暮らしに純粋な喜びが生まれ、嬉しくなる。これから夏の終わりまで、キッチンのテーブルには花瓶に生けた新鮮な花々をいつも飾ることができる。

 

2022年2月

エレン・フライス

 

Photography: Elein Fleiss

 

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