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Harmonic Meditation
Arts and Crafts
vol.1
私たちは今宇宙と繋がり、本当の自分と繋がり
多くの人たちが悟りを開いて生きていくという。
光と陰は統合し真琴の美しさに満ち溢れる。
調和の瞑想のためにいくつかのアートと工藝を集めてみた。
天使を暮らしの中で感じるために、天使の印象をまとった木片がほしいと思った。少し遠出をした時、美しい湖のある森に入りそれを探してみた。森にあるブナやクヌギなどの朽ちた枝や木片を拾い集めそこに天使の面影を探してみたが見つからなかった。ある日、友人の家を訪ねた時、その近くに住む美術作家の田代裕基氏に会った。
彼のアトリエに粗く彫った木片が一つごろりと転がっていた。それは天使そのものだった。私は無作為な形状を一目で気に入った。田代裕基氏は作品を制作するとき、霊的なものとのあわいを表現している。霊的なものとのあわいを表現すること、これは原初的な芸術の目指すところであると思う。
水晶の美しさは水晶と仲良くなればなるほど輝きが増すように感じる。水晶と仲良くなるとは、水晶に慣れない人には不思議な表現かもしれないが、おそらく水晶と人は仲良くなるものなのである。水に愛のある言葉をかけると周波数が変わり結晶の形状が美しく整うという。水晶にもそのようなことがあるのだろうか、水晶は人の接し方で見違えるほど違う気がする。装身具作家 小野泰秀氏の作品の水晶はとても美しい、彼は水晶といつも対話して作品を制作していると思う。人は近い将来、体の組織がケイ素化して水晶の身体を手に入れると聞いたことがある。水晶を身につけることは、それと共鳴して高い周波数の自分の姿を感じることなのかもしれない。余談かもしれないが、人の身体は水でできている。愛のある言葉やその波動は身体にとても良いものなのだろう。
壷という形状に私は惹かれる。おそらく古代から人の惹かれる形状として壷は上位を占めるのであろう。土器作家 安田都乃氏は壷から音のような振動が流れているという。壷内の波形を図ると大きく口の開いた壷は周波数は低く、口の小さな壷は周波の共鳴速度が速く高周波が発されているという。私は安田都乃氏の壷を枕元に置いて寝ている、私にとって癒しの壷なのだ。
人は壷を手に入れるとき、無意識に自身の波動とあった壷や、しっくりとくる壷、より良い自分になる壷、自分にとってより良い空間を作る壷、そういったものを選んでいるとしたら、壺は花活けや見立て調度品以上の大切なありがたい存在なのかもしれない。
木工作家 川合優氏の作品からはいつも、神さまのお宮で使われるような印象を受ける。ある作品からは神の畏敬を感じることもある。この感覚は日本人特有の自然観によるものだろうか。川合優氏は日本の木による作品を制作する、その木がこの島国のどのような山や森で育ってきた木なのかを考え作品を制作するという。木の育った情景を想像して、木の作品と暮らすことはとても楽しい。Center for COSMIC WONDERの家具、机、椅子、棚などは川合優氏によるもので、私の住む築約200年の古民家も川合優氏の家具と、朝鮮の古い家具で構成している。私にとって 川合優氏の家具と古い朝鮮のものが合うのは不思議なことではないと感じている。話は変わるが、日本の山の事情はどうなっているのだろう。山に植林され放置された多くの杉、人が山に入らなくなり荒れた山。山を有効利用したソーラーパネルの風景も寂しく感じる。里山の風景を徹底的に壊す、それらは本当に必要なのだろうか。杉は挿し木で成長したものは根が浅く倒れやすい、そして密集して植えることで存命の危機を杉が感じて花粉を大量に出す。人口的に植えた杉は管理して使っていかないとないといけないものだ。もちろん、これ以上、管理しない杉を植えてはいけない。私の家の周りも放置された杉山や砂防ダムなどがあり、その問題をいつか解決しなければならない日が来る、山の問題は人ごとではないのである。川合優氏の針葉樹林のプロジェクトSOMAの活動は日本の山を変えていく良いきっかけになるだろう。
山や野原にある草や木の繊維でかつて日本人はほとんどの衣の布などを補ってきたのはそう遠いことではない。それらは今は自然布といわれ風前の灯火で受け継がれている。綿が普及したのはここ最近のことなのである。自然布は、大麻布や苧麻布をはじめ、オヒョウ、藤布、科布、葛布、紙布、太布、芭蕉布など。山に入り材料の調達から、剥ぎ、灰汁焚き、糸績みから織りまで気の遠くなるような作業がかつての日本の農家の仕事であり、日々やっておかねばならない暮らしの中で重要な事柄だったのだろう。京都市内にある古い自然布や古民具を扱うギャラリー啓の川崎啓さんから古い科布の布巾をいただいた。川崎啓さんは各国から訪れる古布に興味のある人たちに自然布のことを丁寧にたくさん教えてくださる。その科布の布巾はたくさんの穴が開いていたので、衣のお直し作家 横尾香央留氏にお直しをお願いした。科布の布巾は蒸し蓋の代わりに使われていたものだそうで、横尾香央留氏はシルバーの糸で美しい湯気を刺繍で表現した。横尾香央留氏は着用を繰り返した思い出深い傷んだ衣をお直しによって衣の持ち主と衣をもう一度今に繋げる天才である。傷んだ衣の持ち主とセッションを重ね、その物語を構築し、独特な彼女のお直しが美しい手法で織り込まれる。もともと、科布の布巾は私のものではないが、布の記憶を辿り想像した物語が表出することも面白いのではないだろうか。
Sep 01, 2019
Yukinori Maeda