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スティーブン・スプロット
World Cinema

May 27, 2024 | Free Press 

FP_STEPHEN

 

長い間、映画の非常に短いショットを集めてきた。ストーリーの続きからやや切り離された、いわゆる『カット・アウェイ』のような少し浮遊感のあるショットを探している。今、それらが集まってきたので、幾通りにも繋ぎ合わせてみた。相互関係が生まれ、表現が広がっていく様が面白い。カット・アウェイは本来、物語の舞台となる環境を暗示するもので、街路、家、店先、車、街並み、風景、夕日などで構成されることが多い。また、天候を示すこともある。暗雲が立ちこめ、雨が降り、やがて雲が切れる。こういったことはストーリーの雰囲気を伝えるのに役に立つし、この特別なフィクションが世界のある場所で、ある時間に起こったという一種の証明にもとれる。ロマンス映画から切り離された夕日は、突然まるで解放されたように自由になり、ただの夕日になる。そしてほぼ終わりのない一連のヴィネット(描写)に加わる。また、光と影やカラーとテクスチャーが織りなす広大な儚い栄光に陶酔するものもあれば、薄暗く単調な日常生活のリズムを捉えているのもある。時には不穏な印象を与えるものもある。噴煙、乾燥した土地、洪水、産業廃棄物。もう何十年も前の映画であるにもかかわらず、それらを観ていると、まるで数え切れないほどの憂慮すべきニュースの見出しを逆スクロールしているような気分にもなる。そして、その先に立ちはだかるディストピアの光景を想像すると、絶望してしまう。とはいえ、これらのショットはすべて二度と繰り返されることのない世界の瞬間を表している。そのひとつひとつが、まるでひとつの呼吸のように。

 

2024年2月

スティーブン・スプロット

 

Collage by Stephen Sprott

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